妊婦加算を考える

妊婦加算とは、妊婦が医療機関を受診した際に診療費が加算される仕組みで、妊婦健診を除く全ての診療に適用されます。妊婦加算は4月から導入され、初診で750円、再診で380円が追加で医療機関に入ります。患者側の負担は、3割の場合初診230円、再診110円です。深夜や休日、診療時間外はさらに加算され、最も高いのは初診の深夜受診で、一般より650円増となります。問診票で妊娠中と答えるなどした女性が対象で、母子手帳や検査による確認は不要です。診察後に妊娠中と分かったような場合は対象ではありません。
妊婦加算が適用される患者の多くは、自己負担3割であり、生活保護やひとり親医療費助成などの対象になっていない限り、医療機関を受診すれば、必然的に妊婦加算として追加料金を支払うことになります。なぜ妊婦加算が必要になったかについては、妊婦の診療において、医療者側が普通の患者以上に配慮を必要とすることによります。検査や投薬に関しても、母体や胎児に悪影響を及ぼさないように気を配らなければなりません。
妊婦に丁寧な診療をすることに対する正当な報酬と思われます。しかし、その費用を妊婦自身に負担させることは、問題のように思われます。妊婦加算分については、医療費助成という形を取るべきだと考えられます。妊婦健診は妊娠期間中5回から14回まで拡大され、大部分は公費で賄われていますが、健診の際に出費がかさむことがあります。妊婦の経済的負担を軽減するためにも、妊婦加算は公費で補填すべきです。

(2018年11月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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