子育て世代の時間貧困

子育て世代が時間貧困に陥っています。時間貧困とは、やることがたくさんあるのに1日の中で時間が足りないという主観的体験のことを言います。6歳未満の子を育てる正社員共働き世帯の3割が、十分な育児家事や余暇の時間をとれていません。主要先進国の中でも、日本は子のケアや余暇に充てる時間が少なくなっています。
日本は、高度経済成長期に、男性が仕事をして女性は家庭で育児を担うという性別分業が定着しました。近年は、女性の進学率の向上や男性の所得低下など、様々な理由から、共働きする人が増えています。核家族が増え、子育ての環境も変わりました。子育てと仕事にどう比重を置くかは、世代や育った環境などによって異なります。子育てと仕事を両立させたい人たちの時間的な負担を減らすことが必要となります。
正社員共働きでは、妻の8割以上が時間貧困に陥っています。日本の男性の家事・育児時間は妻の4分の1ほどです。男性の家庭参加を促す余地があります。しかし、日本は男性の労働時間も長くなっており、家事支援や長時間労働の是正、そのための社会の意識変革が必要になります。

 

(2023年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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