移民との共生政策

OECDの統計によれば、加盟国への移民の流入は2017年に前年比3%減の530万人となっています。増加からマイナスへと転じました。反移民の空気は欧州でも目立っており、グローバリゼーションの停滞のひとつの側面です。新たな知や文化を包み込む行為と風土が発展の礎となるのは、今も昔も変わりません。移民を受け入れる政策を整えた国ほど、豊かさを示す1人当たりのGDPは高くなっています。内なる公正さを高め、国を開くのは決して他人のためではありません。
経済を成長させるのに移民は必要不可欠と、カナダのトルドー首相は2022年11月にSNSで宣言しました。移民の受け入れを2025年に50万人にし、2021年から2割増やす計画を掲げています。日本の難民認定率は、英国やカナダの6割超に対して1%の低さです。紛争地から逃れた人を準難民として受け入れる出入国管理法改正案は、2021年に廃案になったままです。
放っておいても人口が増える高度成長期の発想が抜けきらず、国を開く本気度が見えません。外から来る人と一緒になって豊かさを求め、社会のフェアネスと結びつきを強めていくことが大切です。国境を閉ざしていては繫栄の道は遠のき、失うモノは大きいです。

(2023年1月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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