子育て支援策と所得制限

政府は、2020年に消費税率8%から10%への引き上げに合わせ、増収分を財源に幼児教育・保育の無償化を実施しました。3~5歳児は所得制限がなく、保育園や幼稚園の費用の助成を受けられます。しかし、0~2歳児は、保育料が免除されるのは年収約270万円未満の住民税非課税世帯だけで、それ以外は年収に応じて月額約2万〜約10万円かかります。
高校の場合、授業料が高い私立は、最大で年約40万円の給付を受けられますが、世帯年収が590万円を上回ると年約12万円に減額され、910万円超で対象外となります。年約12万円で授業料をおおむね賄えるとされる公立も、世帯収入910万円超で不支給になります。
大学生や専門学校生向けの返済不要の給付型奨学金は、上限額が支給されるのは住民税非課税の世帯です。年収に応じて給付が減額され、380万円を超えると対象外になります。障がい児が使う車いすなど補装具費が満額支給になるのも住民税非課税世帯だけです。
出生率が高い欧州諸国では、全ての子に支給しています。高所得世帯への支給に、出生率の引き上げ効果はないとの意見もありますが、一部に全く支給しないと反発を招き、子どもを社会全体で育てるとの理念からもずれます。所得制限が分断を引き起こしているとの見方もあり、子どもの育ちや学びを保障するための給付は一律であるべきと思われます。

 

(2023年2月8日 東京新聞)
(吉村 やすのり)

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