家計の負債の大きさ

内閣府の日本経済2022-2023(ミニ白書)によれば、若年層で負債が拡大しています。
危うさをはらむのは39歳以下の若年世帯です。預貯金などの資産より負債の方が大きく、差し引きで純資産がマイナスになっています。つまり金利が上がるほど負債が膨らむことになります。純資産のマイナス幅は、2000年代半ば以降、住宅ローン残高の増加を背景に年々拡大しています。住宅価格の上昇もあり、負債残高の年収に対する倍率も顕著に上昇しています。2005年の2.2倍が、2015年に2.8倍、2021年には3.4倍まで高まっています。
住宅ローンのうち、金利が市場環境に連動する変動型の割合も高まっています。今や貸出残高の6割、新規貸出額の7割に達しています。これまでは低金利の恩恵がありました。この20年間、月々の返済額が可処分所得に占める割合は若年層でも低下傾向にありました。問題は、金利上昇のリスクを当の家計が自覚しているかどうかです。将来の金利上昇で返済額がどれくらい増えるかを理解している人は、全体の半分にとどまっています。

(2023年2月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。