定年延長

今や平均寿命は男性が81歳、女性が87歳になり、日本は世界トップクラスの長寿国です。日本では戦前に55歳定年制の導入が進み、1980年代以降に60歳定年へと移行しました。長寿化とともに定年年齢を随時引き上げてきた歴史があります。今、約8割の企業が60歳定年制を採用しています。政府は、公務員の定年を段階的に65歳に延長するとともに、一定の年齢に達したら管理職から外す役職定年の導入や60歳以降の給与を減額することを検討しています。
特に日本は人口減少に直面し、将来的に働き手不足が心配されています。貴重な労働力として元気な高齢者に目が向いています。公的年金の支給年齢も引き上げられており、高齢者にとっても収入のない空白期間を防ぐメリットがあります。定年延長の課題は60歳を超えた社員・職員にどんな役割を与えるかです。シニア本人がやる気満々でも、いつまでも役職にとどまり、業務の決定権を握ったままでは組織の世代交代が滞ります。かと言って長年培った能力や知識を生かせない仕事ではシニアの士気が下がります。

(2018年5月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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