小児期逆境体験の影響

近年、小児期逆境体験(ACEs)研究が注目されています。ACEs とはAdverse Childhood Experiencesの略であり、18歳までに受けた、虐待や不適切な養育などの逆境的な体験を指します。
ACEs研究における質問は10項目あり、スコアが高いほど、成人期の心身の健康に影響を及ぼすことが明らかになっています。スコアが4以上の人はゼロの人と比べ、がんになるリスクは1.9倍高いとされます。アルコール依存症は7.4倍、自殺しようとするリスクは12.2倍高いという結果が出ています。子ども時代にACEsが多いと、神経の発達に問題が起こり、社会的、情動的、認知的な問題を起こし、乱れた生活習慣や薬物乱用などにより陥りやすくなるとされています。
ACEsによるフラッシュバックの辛さゆえに、対処療法を誤りやすいとされています。たばこや酒、薬物などへの依存が生じる結果、病気になったり社会的不適応を起こしたりして、早く命を落とす可能性が高まります。高校中退は2.3倍生じやすく、失業も2.3倍、貧困は1.6倍陥りやすいとされています。ACEsはその人の一生を凄く左右します。だから、虐待や不適切な養育は、できるだけなくしていかないといけません。

(2023年4月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。