少子化社会での女子大学の生き残り

国内の女子大は、1875年の東京女子師範学校(現お茶の水女子大)開校などを経て広がりました。高等教育を志す女子の受け皿や女性の社会進出を後押しする役割を担い、ピークの1998年には98校に増えました。2021年時点で75校と、なお全国の大学約800校の1割近くを占めています。しかし18歳人口が減る中で募集対象が限られる女子大の立場は特に厳しくなっています。
18歳人口の減少を受け、女子大学が男女共学への転換やデジタル分野をはじめとする学部の新設を急いでいます。組織の多様性が重視される時代の流れもあり、共学化に踏み出す女子大は相次いでいます。目立つのが理系分野への進出で、京都女子大は4月にデータサイエンス学部を設けています。
しかし、理系を目指す女子の獲得競争は激しく、都市部の大規模私大や理工系の大学は、女子学生比率を高めようとPR活動や設備充実を進めています。東京工業大や東京理科大は、入試に女子枠を導入することを決めています。社会や時代の変化に対応して組織を大胆に見直さなければ、女子大の存続はますます難しくなります。

(2023年5月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。