市販薬の大量摂取

精神的苦痛から逃れようと、市販薬を大量摂取する若者が増えています。オーバードーズ(OD)と呼ばれ、ふわふわとした感覚を得られる一方、覚醒剤や大麻といった違法薬物と同じように依存症に陥るケースもあります。内臓に強い負担がかかり、死の危険性もあると警鐘を鳴らし、背景にあるメンタルヘルスの不調にこそ目を向けるべきです。
国立精神・神経医療研究センターによれば、薬物依存症の治療を受ける10代のうち、市販薬が原因の割合は、2014年のゼロから2020年は6割近くにまで増加しています。10代のOD患者の多くは非行歴がない一方で、メンタルヘルスの問題を抱えているケースが多いとされています。家庭や学校で抱える精神的苦痛を緩和するため、市販薬に鎮静剤の役割を求める若者が多くを占めています。医師や周囲の人が信頼できる話し相手になり、薬以外の選択肢を持ってもらうことが必要となります。

(2023年1月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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