愛情ホルモンの子育て行動に対する役割

理化学研究所と群馬大学の研究チームの発表によれば、雄のマウスが子を巣に連れ帰ったり温めたりといった子育て行動を取る際、オキシトシンというホルモンが重要な役割をしていることが分かりました。理化学研究所と群馬大のチームが米科学誌に19日発表しました。オキシトシンは人にもあり、愛情や信頼感にも関与し、愛情ホルモンとも呼ばれる物質です。分泌を促進すると子育てに積極的となり、阻害すると子を無視するようになります。
オキシトシンは、雌のマウスでは出産や授乳など子育て行動を促進する働きがあることが知られていましたが、雄での作用はよく分かっていませんでした。交尾を経験していない雄は他のマウスの子に対して攻撃的な一方、交尾を経験したり雌と一緒に過ごしたりすると子育てするようになります。
研究チームは、通常の雄とオキシトシンを作れなくした雄をそれぞれ雌と交尾させ、出産の数日後まで一緒に飼育しました。通常の雄は子育てをしましたが、オキシトシンを作れなくした雄は子を無視することが多くなりました。一方、交尾を経験していない雄でも、オキシトシンを分泌する神経細胞を活性化させると、子育て行動を取ることが多くなりました。交尾を経験したり子と触れ合ったりすることで、オキシトシンの分泌が促されている可能性があります。

(2022年4月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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