慶應大学チームが子宮移植の計画申請

慶應大のチームが、24日に子宮移植の臨床研究の計画を倫理委員会に申請しました。2022年10月時点で、海外では98例の子宮移植の手術がなされ、これまでに52人の子が生まれています。とくにここ数年で手術件数が増えています。国内初めての申請です。
子宮移植は、提供者が8~10時間、移植を受ける人も5時間かかる大がかりな手術となります。子宮移植の目的は、子宮のない女性が出産することで、生命維持のための移植とは異なります。そのため、日本医学会の検討委員会が、医学や倫理学、法学などの観点で子宮移植について議論重ね、少数に限って生体からの移植を認める報告書を2021年夏にまとめています。
慶應大学の計画では、子宮がない20~30代の女性3人への移植を予定しています。移植前に体外受精で妊娠可能な受精卵ができていること、パートナーの継続した理解と協力が必須との理由で、法律上の婚姻関係にあることなど条件としています。年明け以降、学内の倫理委員会での審査が行われます。加えて、日本移植学会と日本産科婦人科学会の同検討委員会でも審査されることになります。医学会の報告書に基づく特別な対応で、二重のチェック体制で研究が適切に行われることを担保しています。
対象となるロキタンスキー症候群の20~39歳の女性は、国内に推定約3,500人いるとされています。子宮がない女性が自分の卵子を使って子を持つ方法としては代理出産もありますが、現時点では国内では認められていないうえ、法律上では産んだ代理母が母親になるため、養子縁組が必要となります。子宮移植は、国内で法律上の実子をもうけることができる唯一の方法となります。

(2022年11月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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