成長と分配

岸田内閣は、日本経済の立て直しには、成長と分配の好循環が重要であると述べています。安倍政権が始めた経済政策アベノミクスは、恩恵が大企業や富裕層に偏っていたという批判があります。
財務省の法人企業統計調査によれば、企業の経常利益は、第二次安倍政権が発足した2012年度の48兆円台から、ピーク時の2018年度には83兆円台にまで増えました。しかし、働き手の賃金などにどれだけ回ったかを示す労働配分率は、2017年度まで低下を続けました。2019年度以降の上昇も、景気後退やコロナ禍で企業の儲けが急減したことによる影響が大きいとされています。
首相は分配を増やせば、消費が盛り上がり、次の成長につながると主張していますが、仮に賃金が上がっても貯蓄に回っては景気は良くなりません。貯蓄が消費に回るには、非正規の働き手の正規化やシニアの待遇改善など、将来不安を取り除くのが重要となります。

(2021年10月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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