抗がん剤後の新治療法

近畿大学などの研究チームは、治療が難しい肝臓がんについて、新しい治療法を提案しています。抗がん剤でがんを小さくした後に、残ったがん細胞に栄養を運ぶ血管を塞いで兵糧攻めにする方法で、患者の生存期間を延ばす効果が確認されたとしています。臨床研究の対象は、腫瘍がたくさんあったり、大きかったりする肝がんです。こうした肝がんの治療法に、カテーテルを使って抗がん剤とスポンジのような物質を入れて血管を塞ぎ、がん細胞への栄養を断つ方法がありました。
しかし、この方法では、正常な細胞も死んで肝機能が低下するうえ、がん再発も多くみられました。そのため、従来の兵糧攻め治療をする前に、がんが血管を新しく作るのを邪魔する働きがあるレンバチニブという抗がん剤を使い、がんを小さくしてから、血管を塞ぐ治療をしています。すると、生存期間の中央値は従来の21カ月に比べ、今回は38カ月に延長しました。がんが残ることが減り、肝機能の低下も抑えられました。臨床研究の対象患者30人のうち5人ではがんが消えたとされています。

(2019年8月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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