新任教諭の退職の増加

公立学校の正規教員として採用されたのに、1年以内に辞める教諭が増えています。文部科学省の全国調査によれば、1年以内に辞めた新任教諭の数は増加傾向にあり、最新の2021年度分では計539人で、全体の1.61%に達しています。うち精神疾患で辞めたのは197人で、データのある2009年度以降で最多となっています。自己都合で辞めたのは287人でした。
教員の長時間労働の問題が解消されないなか、教育現場で新人を支援する態勢が不十分なことが背景にあるとみられます。精神疾患が退職理由の事例も目立ち、教員のメンタル面の支援がより大切になります。増加する不登校への対応など業務が複雑化、困難化しているうえ、人数が多いベテラン層が大量退職するのと入れ替わる形で若手が増え、支援が不十分になっている可能性があります。
今の教育現場は業務量が多く、保護者からの要求も増しています。そもそも新任教諭は仕事に不慣れで大きな負担感を抱いていますが、そこに先輩教員によるパワハラなど人間関係の問題が重なると苦しくなってしまいます。新任教諭の指導を特定の教員が担うのではなく、みんなで分担して育てる仕組みや、新任教諭が指導に関わった教員を評価する双方向評価制度の導入が必要です。

(2023年6月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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