薬剤耐性対策アクションプラン

抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌は、有効な治療が限られ、感染拡大防止策も必要となります。耐性菌の感染力や病原性は、変異する前の細菌と変わらず、健康な人が感染しても、直に症状が出ることはあまりありません。逆に免疫が下がって発症した時などでなければ、自分が感染しているか分からず、治療の手段が限られます。いくつもの抗菌薬に耐性を持つ多剤耐性菌も、続々と出現しています。
静かに広がる耐性菌の脅威は、サイレントパンデミックと呼ばれます。世界での死者は、2050年までに年1千万人に達するという予測を2014年に英政府が発表しています。WHOは、健康に対する最大の脅威の一つと位置づけています。政府は2016年から、抗菌薬をむやみに使わないようにするなど、対策を進めてきています。2021年には、2013年に比べて使用量は約33%減っています。
政府は、4月に薬剤耐性菌対応の新しい計画を公表しています。さらなる普及啓発や抗菌薬の使用量削減、耐性菌発生の監視体制の強化を掲げています。感染して危ない目にあるのは、高齢者や子どもです。抗菌薬との付き合い方を、市民にももっと知ってもらう必要があります。

(2023年6月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。