日本人学生の内向き指向

日本人の大学生などの留学者数は、コロナ禍で急減しました。日本学生支援機構の調査によれば、2018年度に11万5,000人を超えていました。しかし、新型コロナが流行し始めた2020年度には1,487人にまで減少しました。2021年度は1万人ほどに回復しています。
政府は、新型コロナウイルス禍で人数が落ち込んだ留学生を増やそうとテコ入れを始めています。海外へ日本人学生を50万人送り出し、逆に外国から40万人受け入れる目標を掲げています。グローバルに活躍できる人材をつくり出す努力を怠ると、日本の国際競争力は劣化してしまいます。留学生の増加目標は2033年までの達成を目指しています。新型コロナ前の日本人の送り出しは、高校生なども含めるとおよそ20万人、外国人の受け入れは30万人ほどとみられていました。
しかし、学生に留学をしたい意識は広がってきていません。2018年度の内閣府の調査によると、外国留学をしたいとは思わないと答える若者(13~29歳)が5割を超えています。2割程度にとどまる韓国、米国などに比べて高率です。日本は、外国人留学生の受け入れでも後れをとっています。大学などの在学者に占める留学生の割合は、日本が6%ほどしかありません。英国は2割、オーストラリアは3割を超えています。
日本への留学生の上位10カ国は、全てアジア諸国・地域が占めています。高度人材を呼び込むには、幅広い国から留学生に来てもらう必要があります。研究力の高い大学の学生を留学生として受け入れるためには、日本語能力の要件の緩和などが必要です。英語圏ではない日本へ優秀な留学生を招くには、日本で勉強したあとに定住し働きたいと思わせるインフラや住宅、医療などの環境整備が重要になります。

(2023年4月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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