東京中心部の街の明るさが回復していない

東京の夜の明るさが戻っていません。衛星データでみた2022年の光量は、東京は11.6%減っています。住宅街より繁華街の落ち込みが顕著で、六本木や新宿、銀座などは軒並み15%超減っています。コロナ前の2019年平均と比べた夜の明るさは、パリで3.2%、ロンドンで1.4%増しています。ニューヨークは3.2%減です。



3月の都内飲食店の来店客数は、2019年平均を14.9%下回っています。時間が遅くなるほど落ち込みは顕著になります。減少率は午後6~10時台で44.8%、午後11時~午前2時台で57.9%に達しています。業態による差も大きく、喫茶店の消費額は、2019年比で3割伸びているのに対し、夜の客単価が高いカラオケは5割減、居酒屋は3割減です。二次会への関心はコロナ前より6割以上低い水準で推移しています。人手不足で飲食店の深夜営業が難しくなったとの供給側の制約も指摘されています。

 

わが国においては、夜間経済が振るわない状態が続いています。観光庁の2018年のアンケート調査によれば、訪日旅行時にナイトタイムコンテンツを体験した人の割合は、海外より低くなっています。ナイトショーの体験割合は、日本は13%にとどまり、海外より16ポイント低率です。ナイトタイムは訪日外国人にとって消費を促すポテンシャルが高く、拡充の余地があるとも言えます。日本の都市は、海外と比べて夕食後も楽しめるコンテンツが少ないとされており、官民共通の課題となっています。

(2023年5月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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