気象テックの進化

アジアは人口が集中する一方で、防災インフラの整備が遅れており自然災害の被害が大きくなりやすくなっています。アジア開発銀行によれば、2010~2020年に世界で発生した自然災害の被災者の76%、損害額の25%を、アジアの発展途上国が占めています。気象機関の集計では、自然災害によるアジアの損害額は、2021年に356億ドル(約4兆7千億円)に達しています。独ルール大学ボフームなどによる世界各国の災害リスク評価でも、2021年にフィリピンが1位だったほか、アジアの多くの国で危険度がとても高いと判断されています。
自然災害が多いアジアで、気象分野のテクノロジーを生かしたビジネスが活発になっています。観測データとAIを組み合わせて天候急変の兆しをいち早く通知するもので、天候が変わりやすい熱帯で応用力が鍛えられ、技術の進化が期待されています。
ウェザーニューズは、気象当局や自治体の観測機から気象データを随時収集します。AIがシミュレーションと検証を繰り返して天候パターンを学習し、工場ごとに短い時間間隔で予防を作成します。豪雨や雷が発生する可能性が高い場合は警報を出します。顧客企業は土のうを積んだり、在庫を安全な場所に移したりするなど対策が取れます。

 

(2023年2月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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