男女の賃金格差

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、全産業平均で20代前半に7ポイントある男女の差は、30代で21ポイント、40代で26ポイント、50代後半で30ポイントと年代が上がるごとに開きます。残業代や賞与の与える影響が、世代が上がるに従い大きくなっています。60代から男女差が縮まるのは、男性の賃金が下がるためです。
産業別にみると、医療・福祉と教育・学習支援を除くすべてで、働き始め直後の20代前半から女性は男性を下回っています。20代前半に10ポイント以上の差があるのは、製造業(男性100に対して女性87.0)、運輸・郵便(87.3)、金融・保険(88.3)でした。全年齢を通じて大きな格差があるのは金融・保険業界で、40代後半には男性の半分を割り込んでいます。
政府は、女性活躍推進法の省令を改正し、2022年7月から301人以上の企業に対し、男女賃金格差の開示を義務づけています。現在の正社員女性の平均の賃金水準は、75.2となっています。ビジネスの中核や管理職を男性が担い、女性は補助的な仕事にとどまる性別役割分業が会社の中にもあります。賃金格差の開示は、企業が変わることで社会規範を変えていく好循環を生み出すきっかけになることが期待されます。

(2024年3月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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