異次元少子化対策の財源

岸田文雄首相が掲げる異次元の少子化対策を巡って、こども未来戦略会議で、裏付けとなる財源の議論が始まります。政府は社会保険料に上乗せする案を検討しています。児童手当の拡充など、数兆円単位が必要とも言われ、財源の大枠は6月の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)までに示すとしています。
政府・与党で浮上しているのが、医療保険など社会保険の枠組みを使う案です。会社員らが支払っている保険料への上乗せや、既に実施している事業者が全額負担する子ども・子育て拠出金(年間約7千億円)の増額が候補となっています。子育て費用支援で、将来の担い手が確保されれば、保険制度そのものの持続可能性を高めることができます。
保険制度は備えとしての負担と、将来受け取る給付との関係を明確にするものですが、日本だとその負担が現役世代に偏ってしまっています。高齢者も負担することになる消費税を検討するのが筋と思われます。保険制度は高所得者は負担が少なく、中・低所得者ほど重くなり、ますます不公平になります。仏独のように社会保険料の割合を下げ、税を増やす一体改革が必要となります。
少子化対策という観点からは、若い子育て世代に対しての所得減税も含めた税額控除を考えることも必要です。増税議論を避け、取りやすいところから取ろうとするのはとんでもないことです。現役世代に負担が偏る所得税や社会保険料に求めるのではなく、広く薄く皆が公平に負担すべきです。安倍内閣時代の人づくり革命のような消費増税の議論が必要な時期にきています。

(2023年4月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。