福祉先進国に学ぶ―Ⅲ

厚い公的支援で安心感
GDPに対する租税収入と社会保障費の割合を示す国民負担率は40%超と、日本より10ポイントほど高くなっています。しかし教育や医療・介護などで自己負担がゼロになるケースもあり、実際の負担感は低いとされています。

公的な社会支出の内訳を見ると、多くの先進国は高齢者や健康・医療の割合が高いのに対し、北欧は子育て関係の家族政策や職業訓練などにも分配されています。機会の平等やセーフティーネットが安心感を高めています。国連が毎年まとめる世界幸福度報告で北欧各国は世界トップクラスの常連です。
超少子高齢化社会の日本にとって、北欧に学ぶべき点は多くあります。そのためにはジェンダーギャップを解消し、女性の労働力率を上げ、リスキリングの充実などによって労働生産性を高め、高齢者優位の公的な社会支出の抜本的な見直しを図ることが大切となってきます。幸福先進国の仲間入りを希望するとするならば、社会が高負担を受け入れるべきではないだろうかと思われます。

 

(2022年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。