筋痛性/慢性疲労性症候群(ME/CFS)とは

 ME/CFSは、それまで健康に生活していた人が、風邪などの感染症や事故、過重な労働などをきっかけに突然発症します。生活が著しく損なわれるほどの激しい倦怠感、睡眠障害、全身の痛みなど6カ月以上続きます。患者の症状の訴えが理解されず、怠けているなどの誤解を受けたりすることが多い病気です。疲労や痛みの症状があっても、一般の臨床検査では異常が見つからないことが多いのが特徴です。国内の患者数は8万~24万人と推定され、寝たきりで介護が必要となるケースも少なくありません。
 病気のメカニズムを解明し、治療法を探る動きが出てきています。陽電子放射断層撮影装置(PET)で患者の脳を調べたところ、脳神経系の炎症が特定の場所に発生していることがわかりました。脳の扁桃体の炎症は認知機能、視床の炎症は頭痛や筋肉痛、海馬は抑うつ症状とそれぞれ相関していました。それら炎症が強いほど症状は重いことが判明しました。早期診断や効果的な治療法を確立するための臨床研究が始まっています。

(2018年5月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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