米テック界の解雇の急増

旺盛なIT需要を受けて採用を大幅に増やしてきたテック企業ですが、成長の鈍化や景気後退への懸念が広がったことから、2022年以降は大幅な従業員の削減に踏み切っています。2022年にテック企業が公表した世界全体の解雇計は約16万人で、前年の13倍にのぼっています。2023年に入ってからも、既に14万人に迫るペースで人員整理が拡大しています。

 

好条件の巨大テックからの多くの人材が退職を余儀なくされている一方、スタートアップや異業種に分散すれば、新しいイノベーションを生む機会が増えるとの期待もあります。テック企業を退社した人の再就職先は、小売りや金融、ヘルスケアなどで3割近くを占めるとの調査もあり、今後もエンジニアらの活躍の場が広がる可能性があります。イノベーションの創出で課題が指摘される日本企業にも、優秀な人材を採用する好機とも言えます。世界でも見劣りするというエンジニアの給与水準の見直しや待遇改善といった対応も必要になります。
米テック界では、高給を提示するなどして採用競争が過熱していた分、解雇されたエンジニアらの一部は、給与面での条件悪化も考えられます。待遇面で見劣りする企業に採用機会が広がり、人材流動が新たな競争環境を作るきっかけになるかもしれません。

(2023年3月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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