胃がんの手術の変遷

胃がんは、国内では大腸がん、肺がんに次いで3番目に多いがんです。国立がん研究センターの集計によれば、2019年に新たに胃がんと診断された患者は約12万4,000人です。胃がんの治療は、内視鏡治療や手術、抗がん剤などが中心です。
内視鏡治療は、早期の患者が対象となります。がんが胃の粘膜の最も浅い部分である粘膜層にとどまり、周辺のリンパ節に転移している可能性が低い場合です。口から器具を入れて、粘膜のがんを切除します。手術に比べて体への負担がありません。
手術は、がんが胃の粘膜層より奥に広がり、離れた臓器に転移がないケースで行います。かつては、胃全摘が主流でしたが、術後の体重減少などが起こります。後遺症を減らすため、近年はがんの位置などに応じて切除範囲を縮小する取り組みが進み、胃の入り口(噴門)を残し、3分の2程度を切除する幽門側胃切除が増えています。全手術件数の66%を占めています。切除範囲をさらに限る胃の出口(幽門)を残す幽門保存胃切除、胃の上部のみ切除する噴門側切除があります。

手術方法も進歩し、開腹と比べて体への負担が少ない腹腔鏡が定着してきています。ロボット支援も広がっています。2018年に公的医療保険が適用され、実施例が増えています。2022年4月には、従来の腹腔鏡よりも高い安全性が確認できたため、診療報酬が増額されています。

(2022年9月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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