認知症がん患者への対応

日本対がん協会の調査によれば、認知症のがん患者への対応に病院が苦慮している実態が明らかになっています。認知症のがん患者への対応で困ったことがあると答えたのは97.7%にも達しています。具体的には、大腸がん手術で人工肛門を設置したが、周囲にケアする人がいないなど深刻な例が目立っています。がん患者の退院は、認知症とは関係なく、あくまでがん治療による体の回復状況などで決めるものですが、これを明確にルール化している病院は31.3%だけです。
病院は、診察するがん患者が認知症かどうかを早期に知ってケアする必要がありますが、認知症の検査が必要な患者を把握していると答えたのは半分以下の42.7%に過ぎません。そもそも認知症のがん患者や家族がどんな支援を望んでいるか知られておらず、都道府県などが指定する認知症疾患医療センターや地元の認知症サポート医との連携が必要です。
厚生労働省の2020年度の調査では、急性期病院に入院した高齢者の25.5%に認知症がみられています。医療者や家族に対し、患者本人の意思が尊重され、本人が納得して選択できるように支援を求めています。認知症が重いとみられる場合は、患者の意思決定能力を多職種で把握し、本人の意思決定が困難な場合は、本人の価値観などを踏まえて何を望むかを推測するよう促しています。

(2024年4月5日 東京新聞)
(吉村 やすのり)

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