転職希望者の増加

転職希望者、は5年前に比べて2割増えています。1人の転職希望者に対して中途採用の求人が何件あるかを示す転職求人倍率は、1月に2.8倍になっています。2024年春卒の大卒求人倍率の1.71倍を上回っています。業種別では、エンジニア不足のIT・通信は7.73倍、メーカーも3.22倍です。一般的に求人倍率の高い業種は引き合いが強く、賃金水準も高くなる傾向にあります。
リクルートの調査によれば、転職によって明確に賃金が増加した人は全体の35%でした。転職サイトのビズリーチによれば、年収1,000万円以上の転職数をみると、2023年は3年前に比べて3.2倍に増えています。専門性と高いスキルを持った即戦力人材を求める動きが強まっています。
しかし、実際の転職者数とのギャップは大きく、転職希望者の87%は1年以内に転職していません。いずれ転職できたらなど漠然と希望している人が多いとも思われますが、自分に合う仕事が分からないといった転職迷子の存在も指摘されています。会社任せのキャリアにせず、自分で切り開いていくという働き手の意識変革も必要です。
日本の正社員の転職経験率は60%です。米国の90%や韓国の76%より低率です。転職をキャリアアップや昇進につなげられていない日本では、転職後の昇給率も海外に比べて低い傾向にあります。転職に踏み出せない人が多い背景には、不安や自信のなさがあります。転職は、怖い・不安とのイメージが諸外国より多く、約7割に達しています。不満があるのに会社に残る社員が多いことが日本企業のエンゲージメントを下げている面もあります。

(2024年2月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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