配偶者の呼び方

日経ウーマノミクス・プロジェクトの調査によれば、自分の配偶者を誰かに説明する時の呼び方について、女性では、夫が51.9%と最も多く、旦那が18.2%、主人が9.5%を大きく話しています。男性では、妻が35.6%と最も多くなっています。文化庁が1999年に行った国語に関する世論調査では、自分の配偶者について既婚男性の51.1%が家内と呼んでいました。また既婚女性では、74.6%が主人と呼んでいました。使われる呼称は大きく変化しました。
他人の前で配偶者に何と呼ばれたいかとの問いに、57.7%の女性が妻と答えています。男性は31.1%が夫、27.6%は主人と答えています。知人や同僚など他人の配偶者をどう呼ぶかについては、男性の配偶者についての呼び方では、旦那さん・旦那様が53.5%、女性の配偶者では、奥さん・奥様が84.7%と、自分の配偶者への呼び方とは異なる傾向があります。
配偶者の表現には、戦後に廃止された家父長制や家制度の影響が残るものがあります。旦那は施しや世話をしてくれる男性といった意味があります。嫁は、息子と結婚してその家の一員となった女性を意味し、夜の殿に仕える若い女性を指すという説もあります。主人や家内といった呼び方も、一家の主は男性、女性が家事をするという意味もあります。
家内と呼んでいる男性を見ると、性別役割意識の強い人だと警戒感を持つ女性も多みられます。主人という呼称は、戦後になって使われ始めたとされています。専業主婦がいる家庭が一般的だった高度経済成長期にかけて広がりました。現在では共働き世帯が多くなっており、主人という呼称を廃止し、夫やパートナーに変えるべきだと思います。普段使う言葉は個人や社会の価値観を表します。中立的な呼び方を使うべきと考えます。しかし相手の配偶者について適当な呼称がなく、社会全体で議論すべきです。

(2023年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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