革新的がん治療法の特許競争力スコア

世界で2020年代後半に普及する見通しの革新的ながん治療技術で、日本の存在感が高まっています。特許の競争力を集計すると日本が首位で、長年優位を保った米国を2021年に逆転しています。
免疫薬などに次ぐ治療の新たな選択肢として、重粒子線治療、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)、光免疫療法への期待が高まっています。3種類の治療法は、2016年~2020年に世界に先駆けて日本で国の保険の対象になりました。重粒子線治療は、前立腺や膵臓、肝臓や子宮頸がんで保険が使えます。BNCTと、光免疫療法は頭頸部がんの治療に使えます。
日本は、出願件数では米国に次ぐ2位で、スコアが首位でした。2010年以降に重粒子線治療やBNCTで有力特許を増やして、2021年に米国を抜きました。特に重粒子線治療のスコアは1,446点と、2位の米国の4倍に達しています。組織別では、10位以内に日立製作所や東芝など最多の8社・機関が入っています。
スコアと出願数で、3位の中国は急速に有力特許を増やしています。がんは、世界で毎年約2,000万人が新たに罹り、1,000万人が亡くなっています。医療機器や医薬品の市場を巡る国際競争が激しくなっています。

(2023年6月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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