高齢者の急変時の対応

自宅や高齢者施設で体調が悪化し、救急搬送される高齢者が増えています。人生の最終段階の選択肢を普段から家族やかかりつけ医と話し合い、いざという時に備える取り組みが広がっています。総務省によれば、全国で高齢者の10人に1人が救急搬送されています。2021年に搬送された549万人の6割余りを、65歳以上の高齢者が占めています。
家族や本人が、できうる限り全ての処置をお願いしますなどと答えれば、救命救急センターへの搬送を検討します。センターでは、必要に応じて人工呼吸器を装着するなどして延命を図ります。高齢者本人や家族などが、延命は望まないが、病院に搬送してほしいなど救急隊に伝えれば、二次救急を担う一般病院が受け入れるのが基本です。
本人が、もう十分闘病したので自宅で最期を迎えたいなどと希望する事例もあります。往診が可能な場合は、自宅で簡易な酸素投与や点滴を受けることもできます。治療の選択肢は限られる一方、住み慣れた場所で家族とともに過ごせる利点もあります。
厚生労働省は、人生の最終段階で望む医療について、普段から本人が家族など信頼できる人と繰り返し話し合う人生会議を提唱しています。考えたくない人にまで意思決定を強いないよう配慮しつつ、かかりつけ医や介護者、ケアマネジャーなどが医療・ケアチームをつくり、支援する体制づくりが必要です。

(2023年4月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。