HPVワクチンの定期接種率の低迷

HPVワクチンは、小学6年から高校1年相当の女性が対象で、2013年4月に定期接種化されました。接種後に体の痛みなど多様な症状を訴える人が相次ぎ、厚生労働省は同年6月に積極的勧奨を中止しました。その後、多様な症状とワクチンとの関連を示す研究結果は確認されていないとして、2022年4月に積極的勧奨が再開されました。9価ワクチンの場合、中学1年時に2回接種するのが標準的なスケジュールです。各都道府県からの報告によると、2022年度に初回の接種をした小学6年~高校1年相当の女性は、計22万5,993人でした。
大阪大学の上田先生らの報告によれば、勧奨再開後の2022年度の定期接種対象の2006~2010年度生まれでは、2.8~25.2%でした。年齢が高くなるほど接種率は上がっています。勧奨が中止されていた期間に、定期接種の対象だった1997年度生まれ以降の女性は、公費でのキャッチアップ接種ができます。この年代のうち、1997~1999年度生まれの初回接種率は、71.8~81.8%です。2000~2005年度生まれは、9.1~31.6%にとどまっています。
定期接種となる前に緊急促進事業として公費で接種できた1994~1996年度生まれの初回接種率は、53.4~78.2%でした。接種率は勧奨再開前に比べて徐々に上がっていますが、定期接種、緊急接種ともに緊急促進事業当時ほど広がっていません。キャッチアップ接種の公費助成は2024年度に終了します。ワクチン接種について、周知広報を強く進める必要があります。

 

(2024年2月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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