希少疾患の新薬の承認申請

厚生労働省は、海外で承認された薬が日本で使えないドラッグロスの問題を改善するため、小児がんなどの希少疾患の新薬について、承認申請の要件を緩和することを決めました。日本人の臨床試験データがなくても申請できる新たな仕組みを、5月にも導入する方針です。海外の製薬企業による申請を促し、薬の実用化の時期を早める狙いがあります。
製薬企業は、治療薬を開発する際に効果や安全性を調べる臨床試験を行います。国への承認申請時に試験結果を提出して審査を受け、国内で薬を製造販売する承認を受けます。薬によっては、人種などで効果や副作用に差が出ることもあるため、通常は日本人を対象に行った臨床試験の結果も提出する必要があります。
海外で承認されたが日本で使えない薬は増えています。厚生労働省によると、昨年3月時点で、欧米で承認されているが日本で未承認の薬143品目のうち、86品目は国内で申請されておらず、40品目は患者が少ない病気の薬でした。
新たな仕組みでは、①海外での臨床試験が既に終了している、②患者数が数百人以下など少なく日本での追加試験が難しい、③病気の進行が速く命に関わるなどの条件を満たした薬が想定されています。

(2024年4月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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1人あたりの都市公園面積

公園は、自然を守るために一定の区域を指定する自然公園と、国や自治体が整備する都市公園などに大別できます。国土交通省によれば、2022年度末の都市公園などの住民1人当たりの面積は10.8㎡で、2012年度末より8%増えています。政令指定都市を含めた都道府県別の伸び率は、宮城県が28%増とトップで、和歌山県の26%、岡山県の21%が続きます。1人当たり面積は北海道が30㎡で最大です。
1人当たりの都市公園の面積は、海外に比べて低いのですが、国や自治体が整備する都市公園は徐々に広がっています。2022年度末の1人当たり面積は、全国平均で10年前より1割弱増えています。民間の資金やノウハウを生かす取り組みも全国で広がっており、地域の魅力向上への期待も高まっています。都市公園は住民のつながりを生む場にもなります。公園を質量ともに充実させるためには、市民と一緒に育てていくという視点が一段と大切となります。

(2024年4月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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スタートアップの雇用の増加

スタートアップが雇用を積極的に増やしています。日本経済新聞社の調査によれば、合計約1万8,000人と2年間で一気に5割超増えています。人手不足の解決や業務の効率化に伴うデジタル化の需要が追い風となっています。大手企業からの転職者も増え、雇用の受け皿としての役割が強まっています。
有力スタートアップが雇用を増やせる最大の要因は資金力の向上です。2022年以降の世界的な金利の上昇を受けて、資金調達には逆風が吹いてはいますが、技術力やサービスに優れる有力企業は一定の規模の調達ができています。フォースタートアップスが運営するデータベースによれば、2023年に10億円以上を調達した国内のスタートアップは190社と、2019年と比べて3割増えています。

活躍の場を求め、大手企業からスタートアップに転職する人も増えています。エン・ジャパンの調査によれば、34歳以下の転職者のうち、大手からスタートアップに転じた人の割合は2023年に約26%と、2019年比で14ポイント上昇しています。研究者や技術者など専門性を持つ高度人材の採用意欲も高くなっています。スタートアップの年収1,000万円以上の求人比率は17%と、大企業の13%を上回っています。スタートアップが雇用の受け皿として存在感を高めれば、産業の新陳代謝や成長市場への人材の流動化が期待できます。日本的な雇用慣行が変わるきっかけにもなります。
しかし、スタートアップの経営は、大手に比べて不安定な面もあります。資金調達環境を考慮して採用をスローダウンする社もあります。足元では大手企業が大幅な賃上げに動くなど、人材獲得競争も激しくなっています。魅力ある働き先として選ばれるには、明確な成長プランや福利厚生の充実など、総合的な企業価値を高める努力が欠かせません。

(2024年4月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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子ども人口の減少

総務省の発表によれば、4月1日現在の15歳未満の子どもの推計人口が1,401万人でした。前年から33万人減り、43年連続の減少です。1950年以降の過去最少を更新し、総人口(1億2,400万人)に占める割合も0.2ポイント減の11.3%と50年連続で低下しました。

男女の内訳は、男子が718万人、女子は683万人でした。年齢が下がるごとに少なくなる傾向が顕著となっており、3歳ごとの区分別では、0~2歳が235万人と最も少なく、3~5歳が257万人、6~8歳が288万人と続いています。最多だった12~14歳は317万人で、少子化に歯止めがかからない状況です。
都道府県別では、最多は東京都の151万3,000人で、神奈川県の103万1,000人が続いています。100万人を超えたのは2都県のみで、大阪府は、98万4,000人と比較可能な1950年以降で初めて100万人を割りました。最も少なかったのは鳥取県の6万5,000人でした。子どもの数は47都道府県の全てで減少しました。
人口4,000万人以上の主要国で、子どもが総人口に占める割合を比較すると、日本は韓国の11.2%に次いで低率です。米国の17.7%、英国の17.2%などと比べても日本の少子高齢化の状況が際立っています。

 

(2024年5月5日 読売新聞、朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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犯罪被害の遺族給付金の改正

犯罪被害給付制度は、殺人や傷害など故意の犯罪の被害に遭った人や遺族を対象に、国が給付金を支給する制度です。1981年に始まりました。現在の支給額は、遺族給付金が320万~2,964万5千円、医療費などを支給する重傷病給付金が上限120万円、障害が残った被害者への障害給付金が18万~3,974万4千円です。遺族給付金は、2022年度は被害者1人あたりの平均支給額は743万円です。
警察庁は、犯罪被害者等給付金支給法の施行令改正案をまとめています。殺人などの被害者の遺族に支給する遺族給付金について、基礎額を引き上げ、新たな加算の仕組みを設けて増額を図ります。

(2024年4月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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